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文理シナジー学会事務局
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21世紀のパラダイムの構築と産業シーズの創成に向けて

 現代においては科学技術が生活と社会のあらゆる分野に入り込んでいます。科学技術は生活と社会を飛躍的に便利にし、合理化し、また人々の考えを変えてきました。今後もそれはプラスとマイナスの両面で続けられるはずです。例えばインターネットやマルチメディアの応用は飛躍的に拡大するでしょうし、逆に地球環境問題や原発事故のようなマイナス効果も増大するでしょう。こうしてテクノロジーの社会に対するインパクトが高まるにつれ、さまざまな方面で最新の科学技術が応用されてきたと同時に、科学技術に対しても文科系を含めた総合的な視点が必要になってきました。それは科学技術のみを閉じて考えることでは袋小路に陥り、これを多次元的に考えない限り発展の見通しがつかないような問題が増えてきたからです。

 こうした状況は科学技術者の社会的責任という問題を提起します。科学技術者が閉じた専門領域で好きなことをやるだけでは不十分であり、その仕事の意味、メリット、危険性などについて、社会に説明する責任が生じます。理科系と文科系の交流はつぎのような意味でも重要です。すでに経済学や社会学の一部には数理的あるいはシステム工学的手法が盛んに導入されて成功しています。しかし人文科学の分野には科学技術的手法の導入という点で未踏の領域がたくさんあるはずです。社会が複雑化している今、人文科学や社会科学と科学技術的手法との結合は、新しい概念やフロンティアを生み出すために必須のことと思われます。つまり諸科学の融合によるシナジー効果によって、1+1=2以上の新しい付加価値を創造しようとするものです。

 しかし文科系と理科系は現在、教育面においても社会面においても、いまだに画然と分離されているのが現状です。これはわが国において特に著しい傾向です。それは学問を細分化し、マンネリ化するばかりでなく、21世紀における社会の健全な発展を阻むことになりかねません。そこで具体的な諸問題に対して文科系と理科系の考えを結合し、「知の総合化」と「知の普遍化」によるインターディシプリナリーならびにトランスディシプリナリーな研究を進めることによって、新しいパラダイムの構築と産業シーズの創成を目指して本学会を設立することにしました。

 非常に広い分野にまたがり、実際さまざまな課題を取り上げることになると思いますが、本趣旨を理解ざれたうえで、いろいろな分野の同志の方々のご参加を期待しています。